屋上緑化の成功事例として、建築の教科書にも登場する「アクロス福岡」。
学生時代に一度訪れた記憶があり、今回の出張で約15年ぶりに再訪することができた。
1995年に竣工したこの建物は、アルゼンチンの建築家エミリオ・アンバーツによる設計。
官民複合施設と公園を一体化し、街の中心に大きな緑の斜面をつくり出している。
記憶の中では、公園の芝と建物の屋上緑化がなだらかにつながり、丘のような風景を描いていたが、今回は12月。木々は落葉し、建物の存在に一瞬気づかないほどだった。
しかし、30年近い歳月を経て育った植栽は、都市の中に森のような密度と厚みを生み出していた。
その日の夜、天神の駅前を歩いていると、大きなクリスマスツリーがふと視界に入った。
近づいてみると、あぁ……黒川紀章による福岡銀行本店ビルも健在だった。
巨大なヴォイド空間に浮かぶツリー装飾が、都市に祝祭の雰囲気を添えていた。
ふたたび訪れることで、建築が重ねてきた時間や、街の記憶の層に静かに触れるような感覚があった。






