建物が完成するまでの間に、プロジェクトが止まりかける瞬間がある。
設計者と施工者の認識がずれていたり、行政との協議が宙に浮いていたり、発注者が判断を迷ったまま時間だけが過ぎていたり。誰かが悪いわけでもなく、でも誰も次に進めない、、、そういう状態が、現場には意外と多い。
そこに私たちが呼ばれてまずやることは、場にある情報を整理して、関係者の認識を揃えることだ。
プロジェクトが止まる理由のほとんどは、技術的な問題ではない。誰かが何かを決めていないか、誰かが何かを知らないか、同じ言葉で違うことを指しているか、、、たいていそのどれかである。
正解を持ち込むことより、全員が同じ絵を見て話せる状態をつくることの方が、ずっと大事なことがある。それが合意形成であり、INSCAPEが最も力を発揮できる場面である。
合意形成というと「落としどころを探す」イメージがあるかもしれない。でもそうではなく、関係者それぞれの立場と論理を理解したうえで、プロジェクトが前に進むための共通の地図を描くことだと思っている。その地図があれば、設計者も動ける。施工者も動ける。止まっていた行政との対話も、また始まる。
固まっていたものが、少しずつ溶けていく。そのプロセスをデザインすること——全員が同じ方向を向けるための仕掛けをつくることが、INSCAPEの仕事だと思っている。
