~ 湯気 / YUGE ~

/ 地層の中に潜る /

猛暑の外気が35度近い中、足を踏み入れたその場所は、ひんやりと11度であった。
まるで別世界に迷い込んだかのような静けさと冷たさに包まれる。

普段、建築の材料として見慣れている「大谷石」の採掘場。
けれど、こうして巨大な地層から切り出される現場を目の当たりにすると、その印象は一変する。

デザインや機能面も当然ながら、
生産プロセスには、年十年にもわたる手掘りや機械堀の跡や蓄積があり、
大地そのものを切り出すという、圧倒的なスケールの行為を伴っている。
そこにはどこか原始的な営みにも通じる力強さが宿っている。

その背景を知ることで、
石の持つ質感や存在感は、より豊かに感じられるようになる。
“素材の奥に潜むストーリー”を、もっと意識してみたくなる。