YUGE

このコラム「YUGE」は、湯気のように湧き上がる思考の断片を綴るものです。

No.11 企画構想段階から入ることの意味

「相談したいことがある」という連絡が来るのは、たいていプロジェクトが動き出してからだ。

状況を聞き、図面や資料を見せてもらいながら、いつも同じことを考える。もう少し早い段階で話せていたら、スケジュールもコストも、もう少し違う選択肢があったかもしれない、と。

後から入ったプロジェクトには、もうひとつ難しさがある。何がどこまで決まっているのか、誰が何を把握しているのか——現状を正確に把握することから始めなければならない。

プロジェクトが本当に動き始めるのは、設計図が描かれる前だと思っている。

法規の制約、事業収支の前提、関係者それぞれの思惑。それらが整理されないまま設計に入ると、後になって必ず歪みが出る。確認が抜け落ちた法規の解釈、想定されていなかったバックオフィスの面積、成立しなくなった収支計画——「振り出しに戻る」という経験は、多くの場合、企画構想段階の話だ。

もうひとつ気になるのは、ビジョンの扱いだ。最初に丁寧に合意されなかったビジョンは、コストやスケジュールが厳しくなった局面で、静かに削られていく。削られるのはいつも、そのプロジェクトにとって本来いちばん大切なものだ。

だからこそ、企画構想段階でステークホルダーの目線を揃えておくことが、プロジェクトの可能性を守ることになる。企画構想段階で描く最初のスケッチに、プロジェクトの可能性は一番詰まっている。

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